空と君との間に

難航

三月中旬…


俺達は、四人目を見つけられずにいた。


去年の年末から、貼り紙を出していたが、連絡してくる者はいなかった。


「なぁ…このまま見つからなかったらどうする?四人目…」


「そのうち見つかるって!あ、音楽雑誌の、募集コーナーにも載せてみる?」


「それは、もうしてるよ」


「そっかぁ…」


「新曲のアレンジも、折角できてんのに、早くベースも入れて、合わせたいなぁ…リズム隊の相方がいないと寂しいよ、俺」


「もうすぐ新入生が入ってくるじゃん?期待できないかな…」


「それ俺も、考えたけど、いい奴が来ればいいな」


プルルル…


調度その会話をしている時だ。俺の携帯が鳴った。


「ん?誰だこれ?もしもし…」


「あの…バンドのベース募集の貼り紙、見たんですけど…」


「あぁ、はい!……わかりました。じゃあまた連絡しますね。はーい」


「やっと来たか!相手、何だって?」


「一応、同い年らしくて、ずっとバンドがしてみたかったんだって。今週の日曜、会うことになった」


「やっとだな…ちなみにそれ、男?女?」


「男だよ。どんな奴が来るか、楽しみだな!」


プルルル…


「また知らない番号だ。ベース募集かな?…もしもし?」


「あ、貼り紙見たんだけど、まだベース募集してるかな?」


「あ、はい。してますよ!……えぇ、解りました。じゃあ日曜に」


「おぉ!二人目か!とんとん拍子だな。運気が上がって来たんじゃないのぉ?」


「あぁ、今の人も男だ。でも三つ上なんだよな…ちょっと心配だけど、一応会ってみないとな」


「三つ上か…微妙だな…」




そして日曜、俺達は、待ち合わせ場所である、いつものスタジオに向かった。


約束をしている二人とは、時間をずらして会うことになっている。


集団面接みたいに、固っ苦しくしたくなかったのだ。


「何だか、緊張するね。初めて会う人と、音合わせするの…」


「そうだな、俺も初めて亮と会った時、そうだったよ」


「何お前、一応緊張はしてたんだ?」


「そりゃ、多少はな…」

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