奏でるものは~第4部 最終章~
第4章
8月になった。

交代で夏季休暇を取る時期。

間もなく、1つ歳をとる。


優人さんが私の誕生日を覚えているのか分からなかったが、自分からは言わなかったし、誘わなかった。


友達の誰もが優人さんと過ごすと思っているらしく、誘いはなかった。


家族とは、休みの日なら夕食を一緒にするが、平日ならその前の日曜に夕食を共にして祝うのが社会人になってからの恒例となった誕生日祝いだった。


私は自分の誕生日に夏休みをとった。


せめて、仕事しない日にしよう、と毎年決めていた。

でも、まだ誰とも約束はない。



誕生日の前日。


‘明日の夜、会おう’

‘わかった’


覚えているのかわからないけど、とりあえず誕生日の予定はできた。



ちょっと安堵した。





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