幸せポイント
願い
あたしはきっと恵まれていたのだろう。


素敵な両親に素敵な友達。


それらをちゃんと見ようともせず、ないがしろにしてきたのは紛れもなく、このあたしだった。


「今日も頑張ったね」


テンちゃんがそう言い、65ポイントになったカードを返してくれた。


折り返し地点を通り過ぎたポイントカード。


残るは35ポイントだ。


あたしはそれを見つめて「ねぇ、テンちゃん。1つお願いがあるの」と、言った。


「お願い?」


見ると、テンちゃんは首を傾げてあたしを見ている。


「もう1枚カードを頂戴」


「え?」


あたしの願いにテンちゃんは目を見開いた。


驚いて当然だと思う。


だって、『幸せポイント』はあと少しで一杯になるのだから。
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