そういう、関係


「優梨のこと、好きにしていい?」

ある日、ソウちゃんは真剣な顔をして言った。
その瞬間、思考はストップする。

「ショートにしても似合うと思うんだけど。色ももっと明るくして……」
「はぁ……」

そういうこと。
好きにしていい?なんて言われたらドキっとしてしまう。
ちょっと期待したのに。


「また実験台?」
「そう、実験台」

ソウちゃんは、ふわふわした私の髪を弄ぶ。
その顔はすごく楽しそうだ。

彼にとって、私の存在なんて、あの髪の長い練習用のマネキンとさして変わりないのだろう。

「やだ。好き勝手になんてさせてあげない」

私は膨れっ面をして、彼から背を向けた。

「はは、かわいい」
「ソウちゃんのバカ」

そんなに軽く「かわいい」とか言わないでよ……。

顔が、熱い。
何気ない一言に、浮かれてしまってる私は、実に滑稽だ。


ーーねぇ、いつになったら、愛してくれるの?


「優梨、こっち向いて」

柔らかな声に、胸が締め付けられる。
私の髪に触れるその指先が、愛おしくてそして、

憎い。

「嫌、」

こんな感情、初めて知った。

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