あくびがとまらない
ひまつぶし

登校して、わずか10分。
一日の連絡をしに来た先生の声は、もう既に遠くの方に行ってしまった。

窓の外に広がるのは青すぎる空と、夏を連想させる大きくて白い雲。二日ほど前に衣替えをして一年ぶりに半袖に腕を通すと、やけに腕が心細い。



窓際の席はいい。
窓の方を向いて大きなあくびをしても、先生に怒られることは無いから。
窓際一番後ろの席をくじで引き当てた先週の私を褒めてあげたい。



「退屈だ…」

あいかわらず先生の話は最後列に座る私には遠くの世界のお話だし、授業まではまだ時間があるし。

本当に退屈だ。

また、ふぁ〜と大きなあくびをした。


なにもおもしろいことがない。
興味のないクラスメイトの話に笑ってうなずくのもおもしろくない。

分からない授業を聞くのもつまらない。

この変わり映えしない毎日が、たまらなくつまらない。


胸元に申し訳なさそうに吊り下げられてる赤いリボンを引っ張ったり、二つに結わえた髪の毛先をいじってみるけれど特に暇を潰せる訳では無い。

何かないかな、おもしろいこと。

学校に爆弾とか誰か仕掛けないかな。
それか、学校までの道のりでバスジャックとかされてもいい。

いっそ、誰かが死んでしまえばいいのに。

そしたら、少しは刺激的にでもなるはずだ。


だけど、そんなこと出来るはずもなくて

私はまた、ぼぅっと窓の外を眺めてあくびをするだけなんだ。


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