僕等のネイロ
嘘…。


お兄ちゃんに彼女が居るのは知ってた。


でも…まさか美里だったなんて…。


「アンタに復讐してやりたかった。許せなかった。春樹がどんなにつらい思いをしてたか…!!なのにアンタは…!!」


「バーカ」


振り向くと、直人が立っていた。


「一番苦しんだのは悠に決まってんだろ。未だに墓参りだって行けない。怖くてしょうがないんだよ。お前なんかよりつらい思いしてんだよ」


「うっさい!!アンタに何が分かるのよ!!」


美里が叫んだ。


「ごめん…ね。私さえ居なければ、お兄ちゃん、幸せになれたのにね。私が死んでればよかったのにね…」


「バカ言ってんじゃねー!!死んでいいヤツなんて居ない。それは悠菜も分かってるだろ!?」


葵くんが言った。


「私…どうしたらいいのかな…どうやって償えばいい??お兄ちゃんはどうしたら許してくれるかな??」
< 241 / 272 >

この作品をシェア

pagetop