マーメイドはホテル王子に恋をする?!
思い出は泡の如く
社長がホテルを離れた後、私達戦略部隊のメンバーは事ある毎に集まって会議を繰り返した。

どうやったら社長の思っているようなホテルになるのかをネットで探ってみたり、時には町民の意見を聞いたりしながら進めていく。

今更になって知ったのだが、社長はかなりいろんな人との面識があったらしく、それもこの最近に出会ったばかりの人だけではなく、以前からの知り合いみたいな人も大勢いて驚いた。


どうしてこんなにいろんな人と面識があるのかわからないまま時が過ぎ、真夏の繁忙期を迎えた。

その忙しさは例年以上のものがあった。
ホテルが連日満室になるなんてこともなかったこの数年間の業績が嘘のように、日々着実に伸びている。

リピーターもいるみたいだし、ネットで噂を聞いて予約しました…というお客様もいる。


古い社員の中には、冬のボーナスは倍になってもいいんじゃないかと言い出す人もいて、社長が此処に居てくれたなら、間違いなく倍にしてくれたかもな…と声を上げて話す面々の姿もあった。


私は楽しそうに仕事に取り組む人達を見遣りながら、自分もこのままではいけないと思うようになった。

もっとホテルのフロントとしていろんな事を吸収していかなければいけない。
次に社長に会った時に、胸を張ってホテルを守りました…と言える人間になりたい。


< 127 / 173 >

この作品をシェア

pagetop