好きですか? いいえ・・・。





歌詞を……書く?



そんなこと考えてみたこともなかった。



そうだ。落合くんが歌詞を書けないなら、落合くんの歌詞が微妙だとほざくぐらいなら、私が書けばいいんだ。何でそんな簡単なことが思いつかなかったんだろう。



……いや、そんなに簡単なことだろうか。



作詞。文字通り、詞を作る作業。メロディーに歌詞を乗せること。それが何の教養もない私にできるのだろうか。



どっちかと言うと、私は作曲を勉強したい。Emしか弾けないけれど、いろんなコードを覚えて、いつか落合くんのように自分で作った曲に自分で考えた歌詞を乗せて歌いたい。



その歌を……ああ、そうか! 川上くんに聴かせる。そして、その流れで川上くんと仲良くなって、あわよくば告白したりなんかして……。



「どうした? 財満さん。なんか顔赤くなってるけど、熱でもあるの?」



そう落合くんに言われて、慌てて頬を両手で隠した。手のひらに温もりを感じる。それがまた恥ずかしくて、より一層紅潮していく。



「……どれ?」



急に落合くんが私に顔を近づけて、自分の額を私の額に合わせた。突然のことに、自然な流れのそれがまた恥ずかしくて、すぐに顔を背けて、額を離した。その瞬間、落合くんに悪いことをしたなって思ったけど、落合くんは至って冷静だった。



「んー、どっちだろ。わかんない。」



「……。」



わかんないのに、どうして彼はそんな恥ずかしいことをしたのだろうか。でも、その何気ない仕草が人をキュンとさせることを、この鈍感男はきっと知らない。



……鈍感かあ。これはどっちかと言うと、私の方が当てはまる言葉かもしれない。




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