つぎの春には…


「いや、杏様お願い、今回だけは見逃して」




恐らく消えてくれないだろう杏に手を併せお願いする








「あの…」




そこに蓮池さん登場…






げげっ




「おはようございます。少し早く着いてしまって…お邪魔…でしょうか」



彼女の声が段々と小さくなっていく





「全然っ!お待ちしてました~。どうぞここ座ってください」



杏はカフェオレを片手に自分が座っていた席を彼女に勧め、俺の横の席に移動する





「なんでお前が隣にくるわけ?」



当然、抗議する


「そりゃこっちの方が彼女を良く見られるじゃない」




楽しそうに「どうぞどうぞ」と彼女に目の前の席に座るよう促す。





彼女は少々戸惑いながらも軽く会釈をし、そこへ座る



7分丈のスキニーに淡い黄色のシャツ



彼女に良く似合っている





「蓮池さん、おはようございます。すいません、こいつすぐに帰らせるんで」





俺の言葉に「はぁ」とまだ状況を理解しきれていない曖昧な返事が返ってきた。




そりゃそうだ。2人で会うつもりが来てみたら知らない女がいるんだ…絶対に不信に思う



「こいつは
「蓮池さんて言うんですね!下のお名前は?あっ私は日下杏っていいます」




俺が喋り始めたのを遮り、杏が蓮池さんに話し始める。





「栞といいます」



杏の勢いに圧倒されながらも蓮池さんが答える



栞…いい名前だ



「栞さんっていいお名前ですね!おいくつなんですか?」




俺の気持ちを代弁し、さらに女性に年齢まで聞く杏…失礼だろっ




でもきっと自分では聞けないことなので少し感謝…




「36になりました」





「ええっホントに!?全然っ見えない!!若さの秘訣教えてください!!」




前言撤回…早く帰れ…




「拓ちゃん…そろそろトイレに行きたいんじゃない?」




急にトイレに行きたいんじゃないかと俺に聞き出す…





別に行きたくないけど…





てか早く帰れと念を込めて杏を見ると、何やら企んでいる目をしている





こいつなら俺の悪い様にはしないだろう…





「あぁ、そう言えばさっき行くって言ってたな。蓮池さん、ちょっとすいません。」




そう言って席を立ちトイレへ向かう



途中、杏をチラッと見ると手で「5分」と合図してきた





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