消しゴム(仮)

小屋

昔から建っている小屋があった。

木でできた古びた小屋だ。

学校の帰り道の途中、道から少し離れた辺りにポツリと建っていて、僕はいつも目に止まっていた。

昔からずっと気になって仕方がなかったがいつも、通り過ぎていた。

ある休日の日、たまたまその道を通った時の話。

木でできた古びた小屋を通り過ぎようとした時に、ふと何気なく小屋へ目をやった。

「ちょっと行ってみようかな?」

その時だけはなぜか興味が沸き、僕は吸い込まれるような感覚で小屋のある方へ向かって行った。

道から外れて腰あたりまである枯れ草をかき分けながら、小屋までたどり着いた。

入り口の前に階段がある。

三段の短い階段だ。

僕は階段をゆっくり登り、静かにドアを開けた。

ギィィィィ。

ドアがきしむ。

小屋の中はホコリまみれで天井には穴があいている。
中に入るとまず、木でできた四角いテーブルが中央に置いてあるのが見えた。
テーブルの上にはコップやらペンと紙などが散乱している。

左の壁側には天井に届きそうなくらいの高さの棚が置いてあり白い皿がきれいに重ねて並べられてある。

右側の壁側にはちょっと低めの棚があり、本などが陳列してある。

棚の上には花瓶や写真立てなどが置いてある。


更に進むと不思議なきれいな模様の扉が現れた。

扉一面にはくさび模様と、中心には太陽の模様が彫られている。

おそるおそる、扉を開ける。

ギィィィィ。

またドアがきしむ。

4畳くらいの狭い部屋だ。中心にはテーブルがひとつポツンと置いてある。

やはりこの部屋の中もホコリまみれで、ここも天井に穴があいている。

外はもう夕暮れ時になっていて天井の穴からはオレンジ色の光の道筋が出来ていた。

天井から射す光はテーブルを照らしていた。


テーブルの中央にはかなり古びた本が開かれている。

覗き込もうとしたその時、コツンと何かが足に当たった。

かがんで覗き込んで見ると消しゴムが落ちていた。

僕はそれを拾い上げた。

それは虹色に輝いていた。






‥‥‥‥‥‥‥続く
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