朧咲夜Another【短編・完】


「……流夜くん」


「わかってます……」
 

俯き気味に肯き合う在義と流夜。
 

何やら父と流夜の間では、それだけで会話が成立するらしい。羨ましい。
 

食事を終えて、帰ろうとする流夜を呼び止めた在義は、二階の書斎に行ってしまった。渡すものがあるとか。


「あの、今日は本当にありがとう」


「大したことなくてよかった。こちらこそ、ご馳走になってしまって」


「ううん。父さんが同僚の方とか連れてくるのしょっちゅうだから、大量作りは慣れてるから気にしないで」
 

在義が来るまで、流夜と玄関で話す。


「華取――」


「私も咲桜でいいよ?」


「……じゃあ、咲桜」


「うん?」


「また、咲桜のメシ食べたいって言ったら迷惑か?」

< 26 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop