先輩、一億円で私と付き合って下さい!
「えっと、叶谷さんとは、喋った事がないから、ちょっとわからないです」
「でも、見た感じのイメージがあるだろ。あんたから見てどんな風?」

「うーん、大人しい感じ、かな。それぐらいしかイメージがない、です」

 誰が見てもこれと言って目立つ特徴がないのかもしれない。

「そっか、ありがとう」

 おれは愛想程度に口元を上向きにさせ、帰ろうとした時、呼び止められた。

「あの、もしかして天見先輩ですか?」
「えっ、ああ、そうだけど」

「叶谷さんと付き合ってるって本当ですか?」
「なんで、あんたが気になるんだ?」

「今日、彼女、クラスの女生徒から訊かれてて、ちょっと耳にしたから。天見先輩は女生徒の間ではかっこいいって有名だから、なんか今日は彼女話題になってたんです」

「あんたも興味があるのか?」

「いえ、僕はそんなの気にしません。好きな者同士なら付き合えばいいと思います。でも……」
 ここで周りの友達と目を合わせ言いにくそうにしていた。

「でも、なんだ?」

「叶谷さん、それが原因で、上級生の人たちに呼び出されて、放課後どっか連れていかれました」

「えっ!? なんだって。なんでそれを早く言わないんだ。それで、一体どこへ連れていかれたんだ?」

「そこまではわかりませんけど」

 今にも突っかかりそうにしていた俺に驚き、そいつは周りに助けを求め、近くに居た奴にぼそぼそと確認を取っていた。

「何でも教室を出てあっちの方向に行ったみたいです」

 自信なさそうに指を差して俯き加減に困っていた。

「そっか、とにかくありがとう」

 俺はすぐ廊下に出て、言われた方向へと足を向けた。
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