桜ヶ丘物語
それに満足したのかどうかは分からないけど、
マコは愛美の肩越しにじーっとこっちを見つめ、
そして次の瞬間「なら良し」と、どこまでも上から目線で話を切り上げた。





告白してきたその人、なんて名前なの?



と、教室へと戻る道で聞かれたけれど、私は彼の名前をとっくに忘れていて、「覚えてない」と正直に答えたのに、憎々しげに力いっぱい私の頬をつねったマコは酷い子だと思う。




何はともあれ、その日も私は"普通"の中にいた。

暴走気味の友人と、ちょっとおっとりした友人、そして私。

何ら代わり映えのない一日。


それが"最後の日常"だなんて、この時の私に知る術はなかっのだ―……。





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