S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「爽様。女性をお誘いされるには、それなりのお心遣いが必要かと思います」
犬井、と呼ばれた執事の方が蒼ノ月様にそう言うと、
「そうか。確かに紳士的ではなかったな。許してほしい」
「い、いえ!私の方こそ……」
ごめんなさい、と告げる前に顎に手を添えた蒼ノ月様は、なにやら考えるようにして教室を去っていった。
な、な、なんなの……?
緊張しきった身体の力が抜けていき、ヘナヘナとその場に座り込んだ。
す、すごい、色んな意味ですごい人だった。
でも、蒼ノ月様ほどの人がなんで私なんかと食事を?
疑問が消えないまま蒼ノ月様は去っていった……、と思っていた私が甘かったのだ。