second Life~主婦だって、恋してる~
1.セピアな日常
「正樹!忘れ物!」
マンションの一室。玄関のドアを勢いよく開けて、パジャマにエプロンという姿で飛び出してきたのは、専業主婦である安藤華(38)。
長男で、高一の正樹が、慌てて登校した為、お弁当を忘れていった。
階段をスリッパでかけ降り、マンション近くの公園でようやく正樹を見つけた華は、大声で叫んだ。
「…正樹!お弁当!」
「…え?…げ、何て格好してんだよ、母さん、恥ずかしいって…あ~ぁ」
正樹の目の前でスリッパが脱げてしまい、そのまま華は豪快に転んだ。
何とも言えない顔で、正樹が華を引っ張り起こした。
「…エヘヘ」
「…エヘヘじゃねぇよ」
少し恥ずかしそうに起きた華が、力なく笑う。
「…弁当はたぶん無事だから」
「…じゃ」
礼を言うでもなく、お弁当を受け取った正樹は、逃げるように学校に行ってしまった。
「…お母さん、お弁当なら私が届けたのに」
そう言って華の横を通りすぎるのは長女の鈴。ランドセルを背負って、登校中。鈴は6年だ。
「…あ、そうだね、私より、鈴の方が足早いよね」
そう言って華は苦笑い。
「…恥ずかしいからやめてよね、パジャマとか」
「…ゴメン、気を付けてね」
…確かに、外に出るには恥ずかしい。でも、華にとっては、お弁当は一大事だ。愛する我が子の忘れ物を届けることしか考えてなかった。
マンションの一室。玄関のドアを勢いよく開けて、パジャマにエプロンという姿で飛び出してきたのは、専業主婦である安藤華(38)。
長男で、高一の正樹が、慌てて登校した為、お弁当を忘れていった。
階段をスリッパでかけ降り、マンション近くの公園でようやく正樹を見つけた華は、大声で叫んだ。
「…正樹!お弁当!」
「…え?…げ、何て格好してんだよ、母さん、恥ずかしいって…あ~ぁ」
正樹の目の前でスリッパが脱げてしまい、そのまま華は豪快に転んだ。
何とも言えない顔で、正樹が華を引っ張り起こした。
「…エヘヘ」
「…エヘヘじゃねぇよ」
少し恥ずかしそうに起きた華が、力なく笑う。
「…弁当はたぶん無事だから」
「…じゃ」
礼を言うでもなく、お弁当を受け取った正樹は、逃げるように学校に行ってしまった。
「…お母さん、お弁当なら私が届けたのに」
そう言って華の横を通りすぎるのは長女の鈴。ランドセルを背負って、登校中。鈴は6年だ。
「…あ、そうだね、私より、鈴の方が足早いよね」
そう言って華は苦笑い。
「…恥ずかしいからやめてよね、パジャマとか」
「…ゴメン、気を付けてね」
…確かに、外に出るには恥ずかしい。でも、華にとっては、お弁当は一大事だ。愛する我が子の忘れ物を届けることしか考えてなかった。
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