無気力王子とじれ甘同居。


「祐実!」


「あ、大貴っ」


教室のドアの方から私の名前を呼んで、こちらに手を振ったのは、幼馴染みの森山 大貴(もりやま たいき)。



「わりー祐実、数学の教科書貸してくんね?忘れてさ…」



「あ、うん。いいよ、ちょっと待ってて」



私はそう言って、ロッカーへ教科書を取りに行く。



幼馴染みの大貴とは、こうして忘れ物を貸し合うくらい仲がいい。仲がいいっていうか、腐れ縁っていうか…とりあえず、兄弟みたいな関係に近い。



「はい!あ、そうだ。教科書とアイス交換ってどう?」


大貴に教科書を渡す前に、突発的にそう提案する私。



「おぉ、じゃあ、今日の帰りな」


「了解!」


私がそういうと、大貴は「じゃっ」と手を振ってから、教室を後にした。




< 5 / 270 >

この作品をシェア

pagetop