澄みわたれ!第1番外編〜トランペットの恋〜
人は代わり

俺、、、、向井柚月の目線で行こう



体育祭

小学校でいう運動会的なもの

別に興味もないし、ただ淡々とやることをこなそうとだけ思っている

だけど

一つ、やらなければいけないこと

それこそが1番の目的であろうこと

それは

岡山穂乃先輩の走っているところを見る、ということ!!

なんだかんだいって分からない

俺は体育祭だとかいうリア充イベントでもなにかくれるでも無い微妙なものに興味は無い

でも、俺はほの先輩には興味がある

好奇心だけかもしれない

はたして、もっと他の感情があるのかもしれない

嫌いなのかもしれない

好きかもしれない

ただ何か、何か魅力的なものがあったのだと思う

あの、とき

目が合ったように感じたときから

よく分からないものに囚われている気がする

それに対しての興味か、本人に対する興味かは分からないけれど、少なからずほの先輩に何かを感じているのは明白だった


だからこそ

その〝何か〟を暴かなければ

前に、進めない、気がした






部活中

ほの先輩をみると、自分のトランペットを見つめていた

滑らかな銀の輝きに映る顔がぐにゃりと歪む

優しく曲線にそってそっと撫でる

溜め息をつき、マウスピースを口に付けた

柔らかい音色

ほの先輩の音

俺はその音が好きだ

俺の音は、なんかツンとしているから、性格が出るもんなんだと思う

だからきっと

優しい人なのだろう 先輩は

メロディを聴いていると何故だか胸がキューっとなった

息苦しい ここは



恋してる二人が歌い合うところ




途端に心臓が激しく打ち鳴った

落ち着かせようと、光に反射して眩しい楽譜を見る

旋律が

感情が

響きが

全てを飲み込み、揺さぶらす



吹きたいっ



感じるままにトランペットを構える

楽譜を前に

あのメロディを前に

気づけば吹いていた

あの掛け合いのところ

俺が男の方

ほの先輩が 女の方

恋のメロディがふたりの情熱を包み、和音になる

分かった

この気持ち

最後の全音符

吹き終わった時に気づく

この気持ちは





我に返って、ほの先輩を見る

「すみません、、、吹きたくなって」

すると、ほの先輩はふわりと笑った

「ううん。凄くよかった」

なんてことない言葉が、ほの先輩が言うから

顔が 熱くなるんだ、、、

「いっやー良かったよぉ。これは、あれかな。ソロのデュエットはこの2人かな?先生に聞いてもらおうっ!」

3年生の先輩が張り切って言う

3年生の先輩は、もうソロを取っているので軽く言った

ソロ?

俺、が?

先輩と、、、

恋のお陰、か

想いが音になったのか

ほの先輩に伝わった気がして嬉しくなった

そして、情熱的な柔らかい音が出せた気がした
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