御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

「あ……ゆずかな?」

そろそろ連絡があってもおかしくない。あとでこちらから連絡すればいいだろう。

「よしっ」

全てをきれいに詰めて、保冷剤と一緒に小さな紙袋にしまうと、早穂子はまた玄関に戻っていった。

「お待たせ」

スマホを眺めていた鳥飼に、紙袋を渡す。

「ありがとう」

鳥飼はそれを受け取った後、ドアを開けた。早穂子も彼の背中に続いてドアの外に出る。

「お惣菜、とてもおいしそうでした。やっぱり食べたほうがいいと思いますよ」
「……そうだな」

鳥飼はうなずきつつ、足元に目を落とした。

「ね、蓮杖さん」
「はい?」
「俺と……付き合わない?」
「――えっ!」

素でびっくりした。

驚きすぎて、あんぐりと口が開いてしまった。
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