側婚
結婚しましょう


紅野結。3才。

保育園の帰り道。

『結。保育園は楽しいかい?』

『うん! 楽しいよ!』

『そうか、楽しいか!
もしかして、保育園に好きな男の子でも居るのかな?』

『全員、好きだよ?』

『うん。全員好きだよな?
でも、その中で一番好きな男の子は居ないかい?』

『一番?』

『そうだよ。一緒に居るとドキドキして。いつでも、どこに居ても顔が浮かんで。他の女の子と居るのが嫌だって思う男の子だよ!!!
居るだろ?』

『居ないよ』

『………居ないのか…』

『うん』

『結…』

『うん』

『探すんだ…』

『探す?
何を?』

『一番好きな男の子だよ!!!』

『…えっ……。どうして……』

『お前は一人っ子なんだ!!! 将来、父さんと母さんが死んだら、お前は一人になるんだ!!! だから、お前は必ず結婚しないといけないんだ!!! そのためには一番好きな男の子を探さないといけないんだ!!!』

『…えっと……』

『分かったね?』

『あっ……。
うん……』
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