イジメ.COM
5時間目の授業が終わった時だった。


拓巳が鞄を取りに教室へ戻って来た。


しかしその頬は腫れ上がり、口元は血で汚れていた。


クラスメートたちはそんな拓巳の様子に息を飲む。


「ちょっと、どうしたの!?」


すぐに駆け寄ってそう聞いたのは菜々花だった。


「ちょっと喧嘩した」


拓巳はぶっきらぼうにそう返事をして、菜々花と視線を合わせようともしない。


拓巳は鞄を持つとそのまま教室を出ようとする。


しかし、菜々花がそれを止めた。


「待って拓巳! 喧嘩とか、そういうのもうやめなよ」


菜々花の言葉に教室の中は静まり返った。


みんな、2人の様子を気にしているのがわかる。


「は? なんだよお前」


「高校生にもなって、ダサいよ」


それは菜々花の精いっぱいの勇気なんだろう。
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