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教室に残された朱音はその場に立ち尽くしていた。


「朱音……」


そっと声をかけるけれど、朱音から返事はない。


その肩が小さく震えている。


見ると、朱音の目から大粒の涙がボロボロとこぼれ出していた。


あたしはたまらず、朱音の体を抱きしめていた。


好きな人の為にしていることが、こんなにも朱音を傷つけている。


朱音は仁を守りたいだけなのに、仁はなにも気が付かない。


こんなにも理不尽なことってあるだろうか。


あたしは朱音の体を抱きしめたまま、きつく下唇を噛みしめたのだった。
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