君といられるその日まで
1章 見つめ合う
時刻は朝の6:30を指している

本来ならばここで寝ると言うのが今どきの女子高生の朝だと思う

だが、そうは言っても起きなければならない

私は昨夜のうちに用意しておいた服(制服だけど)に着替え、早々と階段を降りてブラシに手を掛ける

「髪、伸びたなぁ…」

ぽつり、独り言がこぼれる

去年の夏に肩上までに切った髪も、今ではミディアムくらいにはなっているからだ

私はその髪をいつも通り髪を梳く
ぼーっとしてたや」

私がへへって笑うと相手のミユは苦笑して

「もう!最近ぼーっとすること多いけど、大丈夫なの?」

って言うから

「ホントごめんね?大丈夫大丈夫!ほら、この通り」

私はガッツポーズをしてみせた

「そうなの?無理はしないでね」

そう言ってにっこり笑ってくれた

「うん。ありがとう」

実は最近、自分が少し疲れているのは自覚してた
でもそんなこと言ってられない
時間は限りなく少なくて高校生活は普通に通って3年間

当然、進路という難関に直面する訳で

私は沢山勉強していかないとダメだった

私がやりたいことは「音楽」だから

中学の時、行き詰まっていた私を…凍りついていた心を甘やかに溶かしてくれたのは1人のシンガーソングライターの歌声だった

自分の顔を出していないというのも、ミステリアスに思え、自分のボキャブラリーが貧しいと思えるくらいそうとしか言いようのない弾き語りなのだ


でも現実は甘くなく、音楽で食べていくことは本当に難しいとされている

それが分かった上で…あわよくば職にしたいと思うくらいに私は思っている

沢山勉強して、沢山歌って

いつかは私もあんな風に―――




なんて、そう思ってしまうのはまだ私が夢見勝ちな所為なのだろうか

そんはなことを考えていると瞬く間にチャイムが鳴り担任の花守先生がガラガラと音を立て、教室へ入ってくるやいなや


「早速だが、転校生を紹介する」


「誰だ」「女子かな?」という声が聴こえてくる

そしたら花守先生が

「まぁまぁ!静かに!さぁ、入ってきて」

またガラガラと古いドアの音がして入ってきたのは1人の男の子だった





"魅了される"




彼に凄く似合う言葉だと私は直感的に思った


本当にキレイなんだ。顔も整っているし背も高い
きっと誰もが憧れる体型

そんな彼は私にはとても眩しくて

それでいて、どこか切ない目をしていた

気のせいかもしれない…けど



「名前は佐賀下真琴、それ以外何も受け付けない」



彼はその一言だけいって

私の後ろの席に座った









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