こじらせ女子が本気になったら
そう、百合絵はモテないわけではない。
ただ、寄ってくる男がまったく彼女の好みではないのだ、悲しいほどに。

百合絵は一見楚々とした美少女だ、昨今では珍しく。
そのせいか、気弱系男子に、「この人なら押せばなんとかなるかも」と勘違いされることが多いのだ。

実際には、百合絵は自分がおとなしい分、乱暴なくらい強そうな男の人が好きだし、自分の好みはガンとして貫く頑固さもある。
なのに、今までの人生、需要と供給が一致したことがない。

百合絵は、大学一発目の告白に、またこの作業をしなければならないのかと、気が重くなりながらも、口を開いた。

「すみません、私、あなたのこと何も知らないし、今は誰とも付き合う気はないので‥‥」

やんわりと断るが、相手は引き下がらない。

「なら、僕のこと知ってから決めてもいいんじゃないかな。とりあえず付き合ってみて」

いや、どれだけ付き合っても好きになる予感が1ミリたりとも感じられない、と内心思いつつ、再度断ろうと、百合絵が口を開きかけたときーー。

「おい」

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