君には僕しか見えない。


「……ごめんなさい。私がただ馴れ馴れしい
だけなのかもしれないけど、昇くん流石に
丁寧すぎるよ。敬語じゃなくて大丈夫だよ!
私のことも〝篠沢さん〟じゃなくて、
〝遙〟って呼んでくれて全然良いから。」


あまり嬉しくない許可を得たが、彼女の期待の
こもった視線にチクチクさされ、結局俺は彼女を
名前で呼ぶことになってしまった。


暫く他愛ない世間話を話していた俺と彼女
だったが、くぐもったチャイムの音が聞こえて
きたので、タイミングをずらして教室に帰った。
< 24 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop