ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
『……もう勉強はしたくない』
はじめて自分の正直な気持ちを言った。
あの孤独な日々を積み重ねた先にある幸福なんて俺はいらない。俺が欲しいのは……俺が求めていることは……。
『……いい加減にしろっ!!』
その怒りと一緒に机に置いてあった本が叩き付けられた。
『俺の子どもならもっと賢いはずだ!ちゃんと冷静に考えてみろ。今から色々なことを学んで知識を付ければ俺みたいな人生が送れる。そうなりたいだろう?』
押し付けられる考え方。
いつだってそうだ。自分が一番正しくて、自分が一番の成功者だと思っていて、自分の生き方こそ幸せの象徴だと勘違いしている。
親父みたいな人生が送れる?
俺がそうなりたいかだって?
『なんだ、その目は』
気づけば俺は強い瞳で睨みつけていた。
『俺はなりたくない!父さんみたいな人には……』
その言葉が言い終わる前にまた怒号が部屋に響き渡った。
『ふざけるな!!』
思い切り右頬を殴られて、その反動で本棚の角に額をぶつけた。視界が赤い。ズキズキと傷が脈を打っている。
視線の先にはドアの向こうからこっちを見てるだけの母さんの姿。そうだ。優先なのは俺じゃない。
いつだって父さんの言いなりで、それが正しいと思い込んでいて。母さんも自分の考え方を俺に押し付ける人だった。
頭をぶつけたせいだろうか。
すごく、すごく、吐き気がした。