ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく


その日の帰り道。私はいつものようにひとりで歩道を歩いていた。家までのルートと違うのは駅前でノートを買う予定があるから。

これでも一応授業は真面目に受けている。まあ、成績は平均的だけど。

……友達と話してばかりいる詩月がどうしてあんなに頭がいいのか。その要領よく生きる術を私に少しは教えてほしい。

そんなことを考えながら色々な店が並ぶアーケードを通りすぎて、文房具店に入ろうとした時。

向こう側の道を歩くふたりの男女が目に止まった。

ドクンと心臓が跳ねたのは男の人の顔を見た時。親しげに女性と肩を並べて街並みへと消えていく。

……父親だ。いや、正確には父親だった人。

久しぶりに顔を見た。全然変わっていない。隣の女性が当時浮気をしていた相手かどうかは分からなかった。

だけど見たくないものを見たという事実に変わりはなくて……胸焼けしたみたいに気持ち悪い。

離婚して家を出てからの間。私のスマホに何度か父親からの着信があった。でも私は出ていない。

なにを話すのか、なにを話せというのか。

今さら、あんなに尋ねても教えてくれなかったのに。だから私はこんな力を得てしまったというのに。

少しは反省して改心したのかと思えばこの現実。
ああ、本当に本当に嫌になる。
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