ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「手が危ない。今度こそ指を切るぞ。こうやって猫の手みたいに指を丸めて」
崇さんが私の右側から手を伸ばして、私の左手に手を重ねた。
えっ。
私は突然の接触に驚き、声も出ない。
崇さんの指が私の指を曲げて、猫の手にして見せる。
体の右半分が崇さんにくっついていて、手どころではない。
近い。
近すぎる。
「茜、わかったか」
崇さんから伝わる熱やたばこの香りに、心臓が飛び出しそうだった。