君がいなくなって
3.とりあえず、お付き合い

■ 真由 ■

「え〜!!ナニソレ?」

家に帰ってから。

すぐにかれんに電話した。


「真由、妊娠していたのかあ…」

かれんのテンションは低い。

「柏原が生きていたらってこれほど思った事はないな…」

私もそれは思う。

「生きていたら、きっと喜んで犬のように真由に飛び付いてきたに違いない」

かれんのこの発言には笑った。

「で、どうすんの?」

その言葉に一瞬、戸惑う。

「…どうしていいのかわからない」

「わからないなら、とりあえず付き合ってみれば?」

「えっ…?」

私は少し淋しくなった。

自分ではわからない方向へ、どんどん流されていく気がして。

「その人、柏原の事もよく知っていて、真由の事も知っている人でしょ?

多分、そこまで言うなら、色々考えたからなんだろうけど」



確かに。

病院にも連れていってくれて、あの発言。

いや、その前にも。

私の事を心配してくれて叱ってくれた。



でも、私を引き取るっていう事は。

総一さんの、自分の思い描いていた人生が狂うんじゃ…?
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