罪な男


振り向かなくたって、その声の主を私は知っている。


大輔は先輩が私のとこに来るの見えてたんだ。


だからあんな逃げるように去って行ったんだね。


気づいたなら教えてくれてもいいのに。


きっと大輔なりに気遣ったつもりなのだろう。



「おはようございます。タクマ先輩。」


「話があるんだけど。」

先輩は怒ってなんかない。

でも悲しそうだ。


なんで先輩がそんな顔してんの。


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