黒桜~サヨナラの前に~



「……舞娜、久しぶり。今年も皆で来たよ。」



柔らかな声で語りかける来美の目は少しだけ潤んでいるように見える。



「舞娜、あのね、今年はあの年と同じで桜が綺麗に咲いたんだよ。」



そう、舞娜が書いた手紙を見つけたあの年と今年も同じような桜が咲いた。



舞娜は見たか?



最高に綺麗だったよ。



それから、一人ずつ今年合った出来事を短めに話した。



「舞娜、来年も再来年もまた皆で来るからね。……私達が来るまで、また静かにしててね。舞娜はやんちゃ過ぎるところがあったから………っ、せめて、そこの中に居るときは、暴れないでよね。……舞娜、舞娜の所に行くときが来るのはきっとまだまだ先だと思うけど、気長に待っていて。」




微笑みなから、泣きそうになりながら来美は舞娜に伝えたいことを伝えきった。



< 192 / 196 >

この作品をシェア

pagetop