黒桜~サヨナラの前に~

忘れられない




~洋side~


俺らはアイツと会った後、屋上に向かった。


―――――ガチャ


「うわっ、暑つっ!」


屋上に入ったとたん熱気がむわっと向かってくる。剣磨が言う通り凄く暑い。


「……。」



皆でなるべく日陰の所に行って、どうでもいい話をしている。いつも孝も入ってくるのに、今日はやけに静かだ。



「孝?どーした?」



優良もそれに気付き、話し掛ける。



「いや、アイツの格好がさ、なんか気になんだよ。」



「はぁ?何でアイツのことなんか……」



俺らの中で『アイツ』はタブー。名前を言うやつなんて誰もいない。



「……どうでもいいだろ。アイツは」


「洋………」



俺はこれ以上アイツの話を聞きたくなくて自分から話を切った。





< 46 / 196 >

この作品をシェア

pagetop