バーカ、お前が好きだよ...。
奈津美告白される⁉︎

ある日の部活中、陸上部で走っていた奈津美の所にサッカーボールが飛んでくる。

「危なーい!気をつけて」
サッカーボールが飛んできて、奈津美は偶然にもそのボールをキャッチする。


「うわ、ボールとれちゃった」
奈津美のところにきたのは、北山裕史、サッカー部の1年5組。
「大丈夫?君」
「うん。はい、これ」

「あ、ありかとう」
ボールを受け取った裕史は、走り去る奈津美にしばらく見惚れていた。

それは、走り方が綺麗だったから。なかなか戻ってこない裕史をサッカー部員が呼ぶ。
「北山ー!なにやってんだよ、早くしろよ!」
「はーい」

裕史は、サッカーの仲間のところへ戻る。
サッカーをしていても、奈津美のことが気になり集中できない。

部活が終わり、裕史はどうしても奈津美と話がしたくて校門のところで待っていた。

奈津美が友達と帰る時、裕史は声をかける。
「篠崎さん」
「えっ、私?」
「そう」

奈津美は友達に声をかけて先に帰ってもらった。

「篠崎さん、走り方綺麗」
「えっ⁉︎なに言ってんの?」
「腕はちゃんと振ってるし、足もお尻にきちんとついてる」
「は?だからなにが言いたいの?」

「僕は君の走り方に惚れたんだ。他の部員よりフォームが綺麗で目立ってた」
「そう?私陸上部だから、基本姿勢。こんなのできて当たり前だから」

「君にはそうかもしれない、だけど僕には当たり前じゃないんだ」
「うん、だから?」

「僕には綺麗なフォームの走り方を教えてほしいんだ」
「えっ、じゃあ、北山くんと一緒に走るってこと?」
「ああ、そういうことになる。日曜日の朝君と一緒に走りたいんだ。迷惑かな?」
「かまわないけど、どうしてそんなことしたいの?」

「君のこともっと知りたいし、話したい。一緒に走ろう?」
「う、うん」
奈津美は疑問に思いながらも、裕史とジョギングを始めた。

日曜日の朝、北山くんが迎えに来て、一緒に走る。
「北山くん?」
「なに?」
「ジョギングとマラソンの違い分かる?」

「えっ、急に言われても分からないな」
「じゃ、教えてあげる」

奈津美はいきなり走るのではなく、ウォーミングアップのつもりで少し歩いてから走る。これが奈津美のこだわり。

「ジョギングっていうのはね、自分の体力や気分に合わせてゆっくり走ること」
「ふーん、なるほど」

「で、ランニングっていうのは、目標タイムとか目標距離にそって速いスピードで走ること。どう?分かる?」
「うーん、今僕達がやってるのはジョギングだよね?」
「そう‼︎」

「ランニングは、目標があるから、それに近づけるように速度を速めて走る。バスに乗り遅れる時の猛ダッシュする感じ」
「そうだね。じゃ、走ろうか」
「ちょっと待って」
「え?」

「今日は初日だから無理しないで30分でここに戻ってくる。かたちとかフォームにこだわらないで走る。OK?」
「じゃ、行き15分、帰り15分ってことだね?」

「そういうこと。じゃ行くよ。走ってる時は話すのNGだから、分かった?」
「うん」

こうして、裕史と奈津美のジョギングが始まった。
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