バーカ、お前が好きだよ...。
ラーメンを食べている2人。
「このチャーシュー麺美味しい」
「ほんと、こっちの醤油ラーメンもうめえ」
「嬉しいこと言ってくれるねえ。可愛い彼女にチャーシュー1枚、イケメンな彼氏にチャーシュー2枚あげちゃうよ」


「わーい、ありがとうございます」
「やったね、ありがとう」

黙々とラーメンを食べて。
「あー、うまかった。ごちそうさま、お会計」
会計を済ませてお店から出る。

「ありがとうございましたー」
威勢のいい声が響く。

「ほんと、ラーメン美味しかったね」
「ここのラーメンは安くて美味いんだよ」
「前から知ってたの?」
「ああ、テニス部の連中ときたことあるんだ」

「あ、私を誘わないで他の人とは来るんだ」
「男の付き合いってやつだよ。麗子とは今日一緒に来ただろ?」

「まあ、風太はイケメンだから許してあげる」
「なんだよ、それ?じゃ僕がイケメンじゃなかったら許さねえのかよ?」
「うん、そう」
「変な麗子」
頬を軽くつまむ。

「もう、変な顔になるからやめて」
「元々変じゃん、お前の顔」
「なんだって!」

風太を睨む。
「ほら、そういう顔が変だった言ってんだよ」
その時後ろから凄いスピードでオートバイが走ってくる。

「麗子!危ねえ」
風太のとっさの反応で、自分の方に引き寄せる。強く腕を引っ張られた麗子は、風太に抱きしめられてる状態になった。

いつも一緒にいて、スキンシップも沢山してるのにドキドキして、力が抜けそうになる。
「あ、ごめん」
麗子は風太から離れようとする。

「なんで離れようとすんだよ!」
「だって、近すぎるし。こういうの慣れてないから」

風太は、さらに強く麗子を抱きしめる。
「ごめん、麗子を危ない目にあわせて。僕ってだめだよな。彼氏失格かな」
「えっ、ちょっと風太?」
「ん?」
麗子を解放する。

「全然駄目なんかじゃないよ。私をちゃんと守ってくれたじゃん。風太が引っ張ってくれなかったら私、今頃怪我してた」
麗子は涙目になっている。

「なに泣いてんだよ、バーカ」
風太は麗子の泪を拭う。
「だって、風太さ......」
「だってなんだよ?」
「優しすぎるよ。あと、いつ彼氏になったの?」
「は?僕そんなこと言ったっけ?」
「言った」
「はあ、記憶にないんだよね」
「なんか、政治家みたいなこと言うんだね」

「立候補しようかなあ、僕」
「えっ、できるわけないじゃん」
「なに間に受けてんの?麗子の彼氏に立候補しようかなって言ってんだよ」

衝撃の発言についていけない麗子。
「えっ、嬉しいけど。あの......」
「即答できないってことは、他に好きな男がいるのかよ?」
「なに言ってんの?いるわけないじゃん。だから、お願い。私の彼氏になって?」
「どうしようかなあ、考えとく」

「えー、またごまかして」
「そのうち答えだすから、楽しみにしてな」

麗子の額にキスをする。
「もう」
頬を膨らます。
「お前のそういう顔、嫌いじゃないよ」
麗子の額に入れ向かってデコピンする。

「いたーい」
「帰ろう」
「うん」

2人は、家路に向かう。
「後で行くから、待ってろよ」
「うん、分かった」
風太と麗子の家はとなり同士。
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