溺愛兄
「まぁ、頑張って。だけどこれだけは言っとく、あんたは可愛いからね!気をつけてね!」


『はいはい。』

私は曖昧な返事をして、夏恋を席に送り出した。

すると、突然

「ねーねー、姫乃ちゃんって言うんだよね?俺、桐崎翔!よろしく!」

と前の男子に話しかけられた。

『桐崎くん、よ、よろしく』


でもなんで名前。

『えーっと桐崎くん、「あ、翔でいーよー」じゃあ、翔くん、なんで私なんかの名前を知ってたの?』


「そりゃ、可愛いで有名だから」

『はぁ?可愛い??あのー、眼科オススメしますけど?』

翔くんは、何を言ってんだ。

「いーや、俺は、小学校の時からずーーっと!右も左も1.5ですけど」


『なら、今悪くなったんじゃ「なってねーよ」』

「そろそろ認めろ。」

『はい。』

なんか面倒くさそーだから認めといた。

「やけに素直じゃん!気に入った!」


『あ、ありがとうございます』


もう、朝っぱらから私の周りは騒がしいな。

私はこの時、知らなかった。今日起こることが蓮兄を怒らせるきっかけになるなんて。
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