恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
しばらくして、
「遅くなって、すみません、兄さん、ナナコさん」
と、ゴルフ帰りの弟の慎也さんがやって来た。

お母様と優姫ちゃんが顔を見合わせて笑い出す。

…ですから、私は奈々ですって。と心の中でそう言ってみた。


「そう、奈々さんっていうのか。
兄がナナコって言ってたから、みんなそう思ったんだなあ。」と慎也さんも笑っている。

慎也さんも背が高い。
リュウより少しだけ、小さいので180センチ位かな。
髪は茶色に染めているが、
髪にウェーブがかかっているところや、
通った鼻筋に、意思の強そうな目元も似ている、
かなりのイケメンなのは変わりない。
でも、全体的に柔らかく、穏やかな印象だ。


「兄さん、夏ぐらいから、結婚するかも、とか、
イヤ、駄目かもってはっきりしなくてさあ、
…今まで、女性の事で、思い通りにならないで、
こんなに右往左往する事は、なかったからね。
かなり、イカれてると思って、すごく面白かった。
この間なんかはナナコがさらわれたって言って俺たちまで慌てさせてさあ、
そしたら、合コンに友達に連れて行かれたってだけでしょう?
それでも慌てて出かけて行ってさあ、もう、迷惑な人だよね。」と笑って

「兄はあなたにベタ惚れなんだなあ。
プロポーズの2日後に籍をいれちゃうほどね。
大丈夫かなナナコさん、
きっと、うっとしいほど愛されちゃうと思うんだけど」と私に聞く。

「私も竜也さんを愛しているので、大丈夫です。」と少し赤くなって言うと

「そっか。良かったね、兄さん」

とリュウに笑いかけた。
< 247 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop