恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
リュウは笑い出して、
「ナナコが言ったマイナスと思われる部分は結構当たってる。
毎日忙しいし、
仕事休んでても、気になる患者がいれば、俺も顔を見に行く。
でも、家族ができたら、大切にしたい。
…それに、浮気は絶対しない。
誓う」と私を見る。

こら、リュウ、指輪の相手に誓え。

「私に誓われても困る」とおどけてみる。

「おまえは、ちっとも俺の気持ちがわかってないな。」と、呆れた顔をして
「お代わり」と空になったきんぴらの皿も差し出した。

いや、わかってますよ。

「リュウが私の事を思って、サポートしてくれようとしているのは
わかっているつもりですよ。
感謝してます。」と深く頭を下げると

「…そーいうんじゃなくて…」とリュウはため息をつく。

じゃあ何?と瞳を覗くと、

「あんまり見つめるな。」とふっと笑って顔を外らす。

何?


その後、リュウは私の作り置きをしたおかずを中心に食べてしまい、
鍋はほとんど、残ってしまった。


「明日は、ちゃんと鍋の中身を食べる」
と宣言して帰って行ったリュウは、
明日もうちに来る気満々だ。

やれやれ。



リュウは私ひとりの時間や、場所を、奪っていく、
初めに出会った非常階段のように、
気がつくと、そこにいる。

私はひとりじゃないことにはじめは戸惑って、
でも、いつの間にか、楽しくなってしまうのだ。

でも、10年前と同じように
今回もきっと、楽しいばかりではなくて、
6ヶ月経てば、リュウは私の前からいなくなってしまう。

10年前、いなくなってしまったように、私ひとりで残される。
楽しい時間も、私だけに向けられる笑顔も…

きっと、知らない誰かのモノになってしまうのだ。

ヤキモチみたい?かな…
私達は仲の良い友達でしょ。
リュウは約束の指輪を身に付けているんだから…
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