恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
そして、窓の外に向かって、手を振る。
桜子先生だ。
急ぎ足で入り口に回っている。

「ナナコちゃん、大丈夫だった?」と、ホッとした様子でやって来る。
山岸さんが
「当然、大丈夫だよ。僕がついていたんだから。」と言う。

「壮一郎ったら、もっと早く教えなさいよ。
文句言ってやったのに」と桜子先生は怒っている。

「桜子さんが菅原先生と喧嘩にならないように、後から教えたに決まってるでしょう。
あなたは頭に血がのぼると、加減がきかないんだから。」と笑う。

桜子先生は私に向かって、
「ナナコちゃんは知らないだろうけど、
菅原先生は見かけは優しいかんじだけど、女の子には冷淡な人よ。
多分、遊び相手だけしか、彼の回りにはいないわ。
きっと、奥様と別れたあと女の人が信用出来なくて、キチンと付き合う気がないのかな。」と話す。

私が
「熱心に仕事をしている間に奥さんを失った。って言ってたけど、」と言うと、

「まあ、前に勤務してた病院では、熱心な医師だったって聞いてる。
勤務外に病院で仕事したり、当直があったりで、奥さん寂しかったんだと思う。
奥さんが浮気をして離婚になったけど、
菅原先生のせいだって奥さんに言われたらしいわ。
菅原先生ひどく傷ついて、時間どうりの仕事しかしなくなったし、
女の子には、向き合う気がないのよ。
菅原先生に告白した女の子は、
『ぼくは君の事を好きにならないけど、付き合うのは構わない』って、
言ったらしいわ。嫌な男。」

とまだまだ怒っている。
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