あの日失った想い
「ねぇ、郁麻。あんた最低だよっ!」

仁美が泣きながら俺の胸ぐらを掴んできた。


「私の涙の理由…分かる?由佳里は…あの子は誰よりも努力家で自分にしか出来ないことを探してる!」


…知ってる。由佳里のことぐらい。

仁美は俺を睨んで話を続けた。


「だからっ、あの子は誰よりも繊細で、綺麗な心を持っているの!

郁麻、あんたはその心を踏みにじって汚したのよ!由佳里の純情をさ……

由佳里に謝りなさいよ!

私、郁麻がそんな冷たい人だなんて思わなかった!」


仁美が俺から手を離し、その場に崩れた。

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