あの日失った想い
私は郁麻をじっと見つめた。彼はふーっと息を吐いて、私に微笑んでくれた。




ドキッ





「母さん。俺の失った記憶の一部にこいつ…由佳里が入っている。




父さんの事実も受け入れなきゃいけない。でも、でも1番こいつを思い出したい。




約束したんだ“必ず思い出す”って」






やっぱりずっと彼は憶えていてくれたんだ。私が全然来なくても、ずっと頭の片隅に置いていてくれたんだ。






涙が出そうになった。ううん、てかもう半泣き。





好きな人に約束を憶えていてもらえるってすごく……みんなが想像しているよりもものすごーく嬉しいんだよ。



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