あの日失った想い
*
屋上の扉を開けたとき、視界が開けたように太陽が私の目を眩ませた。
もう1度目を開けたとき、私を何度も救ってくれた、私の愛する背中があった。
「郁麻」
私は彼の名前を呼んだ。彼は私に気づいたらしく、こっちに振り向いてくれた。
「由佳里」
何度も彼の姿は見ているはずなのに、何度もかっこいいと思ったことがあるのに…
今みた彼の姿は今までで1番かっこいいと思った。
「本当に郁麻だよね?」
1歩ずつ、大好きな彼に近づく。彼はクスッと笑っていた。
「あたりまえだ」