あの日失った想い
「由佳里らしいな。自分の答えが見つかったんだな」



「うん!」



私は郁麻の隣に来た。彼の横顔は、昔と違っている風に見えた。



キレイなことには変わりないが、どこか違う雰囲気を漂わせていた。





「由佳里、俺は手術を無事に終えてきた。目が覚めたとき、最初に思い出したのはお前だった」




私を?




郁麻は真剣な表情で、きちんと私の目を見て話してくれていた。




「手術を受けている最中、俺の脳裏にずっといたのはお前だった。お前の声がずっと聴こえていた。



いつもの明るい笑顔でな。そして俺に囁くようにいつも言うんだ。



“負けるな”とか“待っているから”ってな」



「っ、」




涙が溢れ出した。とめどなく足元を濡らしていく。



彼は、ずっと私のことを考えてくれたんだ。




「意識が薄れていく暗闇の中、お前だけが俺の光だった」




泣いている私の頭を撫でて、いつもの艶やかな笑みで笑っていた。



郁麻、嬉しすぎて、言葉が出ないよ……

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