あの日失った想い
「郁麻。訊いて」
「ん」
私はこの格好のまま、口を開いた。
「ここに来る前、あなたを担当していた医師から訊いたの。
あなたの記憶は完全に戻った訳じゃないって。
郁麻の記憶は忘れてしまったことがありすぎてすぐには思い出さないそうよ。
時間が経っていくうちにじょじょに回復するって。
その度に辛いことや苦しいことも思い出すそうよ。現に、まだお父さんのことを思い出していないんでしょう?」
郁麻の顔を見上げると、静かに頷いていた。
彼のその顔を見ると、胸が締め付けられた。
私は話を続けた。
「ん」
私はこの格好のまま、口を開いた。
「ここに来る前、あなたを担当していた医師から訊いたの。
あなたの記憶は完全に戻った訳じゃないって。
郁麻の記憶は忘れてしまったことがありすぎてすぐには思い出さないそうよ。
時間が経っていくうちにじょじょに回復するって。
その度に辛いことや苦しいことも思い出すそうよ。現に、まだお父さんのことを思い出していないんでしょう?」
郁麻の顔を見上げると、静かに頷いていた。
彼のその顔を見ると、胸が締め付けられた。
私は話を続けた。