あの日失った想い
第3章

雨の日の出来事

【 郁麻side】




季節は本格的に梅雨に入った。



外は雨がザアザアうるさい。


「郁ちゃん、学校は楽しい?」


朝食を食べていると、母さんが優しく訊ねてきた。



「あぁ。この前花恋に会った」


「まぁ!懐かしいわね〜今度、家連れてきてよ」


俺は下を向いたまま頷いた。



母さんは昔から俺に優しい。理由は訊かないが、予想はつく。



俺には父親がいないからだ。いや、正確にはいたのだがな。



母さんは俺が産まれてからずっと女ひとり手で育ててくれた。




だから、俺は母さんに感謝をしている。



「いってきます」

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