王様と黒猫


「明日……明日晴れたら、何処か散歩にでも行かないか?」

「散歩……?」

「ああ、昨日お前が作ってくれた菓子を持って」

「――――!」


もう一度、シオンと手をそっと繋ぐと、彼女はその小さな手にぎゅっと力を入れて俺を握り返す。そしてやっと顔を見ると、彼女は頬をピンクの薔薇のように染め、嬉しそうに微笑みながら頷いてくれた。

昨日から姿を見せなかった黒猫シオンが、いつの間にここへ来たのか俺の足元に擦り寄っていた。猫は彼女の代わの様に、にゃーと返事をしながら満足そうに喉を鳴らした。





明日、晴れたら散歩に行こう。

また手を繋いで。

きっと雨も止んでいるはずだから。















【おまけ ② 雨と黒猫 END】
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