身代わりペット
そのまま数秒、瞬きもせずに課長を凝視する。

課長は土下座をしたまま動かない。

(えっと・・・・・・?)

私は今、何をお願いされたのだろう?

『俺のペットになって下さい』とかなんとか言われた様な?

いやでも、ペットって。

第一私は人間だし、ペットになんてなれないし。


冗談?


にしては質が悪い。

それに、課長がそんな冗談を言うなんて全く想像が付かない。

しかも土下座までして言う冗談なんてあるのだろうか?

じゃあやっぱり本気で『ペットになってくれ』って言われた?

(う~ん、どうしよう・・・・・・)

相変わらず課長は土下座のままの体勢を崩さないし、いつまでもこんな事をやっている時間もない。

とりあえず、顔を上げてもらおう。

このまま課長に土下座をされているのは、なんとも居心地が悪い。

「あの、課長?とりあえず頭、上げて下さい」

私の言葉に、課長がゆっくりと顔を上げる。

その真剣な眼差しに、『あ、冗談でも聞き間違いでもないな』と私は悟った。


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