身代わりペット
鼻歌を歌いながら「今日は気持ちが良いね~」と背伸びをする千歳。

それを見ていたら、なんだか物凄く「ありがとう」を伝えたくなって、ボソッと呟いた。

「ありがと」

でもその瞬間、強い風が吹いて、私の言葉が掻き消されてしまった。

「へ?なんか言った?」

「ううん。なんでもない」

「そ?」

感謝の言葉は風が連れ去って行っちゃったけど、千歳が笑っているから本当は聞こえたのかもしれない。

千歳が居て良かった。

失恋の傷はまだ癒されないけど、千歳がいればあっと言う間に立ち直れそうだ。

「さー、午後もガンバロー!!」

「張り切り過ぎてミスなんかしないでよ」

「そしたらフォローよろしく!」

「はあ?絶対ヤダ」

「なんでよー!」

二人でキャッキャしながら歩いていると、みんなが訝しげな顔をしてこっちを見る。

でもそんなの関係なしに、私たちは笑いながら公園を後にした。

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