哀しみの最果て
鈴花はぽつり、ぽつりと話し始めた。



「…私が事故の後入院している時の話です。
私は運よく軽症ですみました。ですが、夫と娘は……うッ……。

最初は相手の運転手を恨みましたよ。
でも、松本さんという老人が毎日私の元へ頭を下げにくるんです。
本当にすまないと…。
そんな姿を見せられていると自然と私の中で許す気持ちも沸いてきましたよ。
そんなとき1人の記者が私に話かけて来たんです。

私は悲しみに打ちひしがれていたので、どんな質問をされたかはあまり覚えてないけど、その記者が他の記者に発した言葉だけははっきりと耳に残っています。」
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