その笑顔が見たい

午後から会議があるのに外回りからの帰社のタイミングが悪く、昼食を食べ損ねた。
昼食を抜こうか考えあぐねていると、桜木も同じようなタイミングで帰社してきた。
僕が上着を脱いでカバンの中から書類を出しているのを見て察したのか桜木がそばに寄ってきた。

「あー、お腹空いた。翔ちんも今帰って来たの?」

「ああ」

「ご飯は?」

「食べ損ねた」

「なら、食堂行く?」

「時間ないだろ?」

「大丈夫だよ、ササッと行こうよ。付き合って」

どうせ何か聞き出したくてウズウズしてるんだろな。
いつもなら午後も外出するから昼食を抜いてもどこかで食事が取れる。
今日はそのまま会議だ。昼食抜きになる可能性は高い。


「…そうだな」

ありがたく桜木の誘いに乗ったのは隣の宮崎がこっちをじっと見て何かを話しかけそうだったから。外出から帰ってきて少しはゆっくりとした気分で仕事をしたいのに僕と関わりたいと体から滲み出ていると引くよな。

財布をズボンの後ろポケットに入れて、桜木とオフィスを後にした。



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