その笑顔が見たい
「事情があったんだよ」

拗ねたままだと面倒なので、手短に説明する。

「聞いたの?」

「少しね」

「なんだったの?」

「おじさんの借金で家が担保に取られたみたいだよ。それにおじさんたち離婚してたみたい」

「嘘!あんなに仲良しだったのに?」

「葉月と聡も別々に暮らしていたみたいで、葉月とはまだ会えてないんだ」

「そう」

母親は肩を落としていた。
するとソファから振り向きもせずに父親が声をかけて来た。

「翔太、今からでも聡くんの力になってあげろよ」

「もちろんだよ。連絡先ももうわかったし、できる限り力になる」

すると母親が心配そうに口を挟んだ。

「でもお金とか貸しちゃダメよ」

急に現実的なことを言うので少し苛立ちながら

「…言われなくてもわかってるよ。それに翔太は離婚した時、おばさんに付いて行ったから、おじさんからは籍が抜けてる。おじさんと苦労していたのは葉月だよ」

少し声が大きくなった。


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