添い寝は日替わり交代制!?
22.次は交代
「あれ。中島ちゃん早いね。」

 吉田先輩が隣の席に荷物を置きながら感心したような口ぶりで視線をこちらに向けた。

「仕事が昨日終わらなかったので…。」

 苦し紛れにそうつぶやく。
 嘘ではないんだけど…なんとなく吉田先輩の目が見れない。

「1人で偉いね。」なんて言われても「違うんです。佐々木課長が手伝ってくれたんです。」とは言えなかった。

 仕事は佐々木課長が手伝ってくれたおかげでみんなが出社する前に終わることができた。

 その佐々木課長は席にいない。
 気を遣って出社時間の少し前に席を外してくれていたのだ。

 そのおかげで誰かに「2人で早く来たんですか?」なんて言われることもなかった。

 佐々木課長の座っていない席をチラリと盗み見る。
 少し前までそこにいた佐々木課長。

 早く来た会社で誰もいなくてもいつも通りだった佐々木課長。

「どうした?中島ちゃん。」

「い、いえ。なんでもありません。」

 吉田先輩に声をかけられて慌ててパソコンの画面に視線を戻した。
 
 仕事が終われば今日は宇佐美くんの方だ。
 心なしか気持ちが沈む。

 そうは言ってもそうするしかない。
 余計なことを考えないように改めて仕事に集中した。





 仕事を終えた心春は宇佐美くんのアパートに来ていた。
 会社帰りに買い物をして夕食を作りながら夜間の大学に通う宇佐美くんの帰りを待った。

 料理をしながら、ぼんやりしてしまう。

 お昼過ぎに会社のパソコンに来ていた宇佐美くんからのメール。

『定時に上がったら鍵を渡したいので会社から一番近くのコンビニに来てください。』

 会社のメールは上司が見ることができるため、本来なら私用メールはご法度だ。

 心春の上司は佐々木課長だから佐々木課長に見られてしまう。
 それを分かってて……。

 宇佐美くんはどれだけ佐々木課長を意識しているんだろう。
 わざわざ会社メールで送ってきたりして。

 やっぱり、私ではなくて佐々木課長が気になるから私にちょっかいをかけてくるんだろうなぁ………。

 ピーッピーッ。

 レンジの音にハッとすると思考を一時中断して料理に専念することにした。

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